簡易課税制度とは、その課税期間における課税標準額に対する消費税額を基にして、仕入控除税額を計算する方法をいいます。
 具体的には、基準期間(個人でしたら前々年度、1年決算法人でしたら前々事業年度)における課税売上高が5000万円以下の課税期間について、消費税簡易課税制度選択届出書を所轄税務署長に提出した場合に適用され、その課税期間の課税標準額に対する消費税額(課税売上げに係る消費税額)から売上げに係る対価の返還等の金額(売上値引き等)に係る消費税額の合計額を控除した金額にみなし仕入率を乗じた金額が仕入税額控除(仕入れに係る消費税額)とみなされます(法37)。
 みなし仕入率は、課税売上高を第1種事業から第5種事業に区分した上で、次のようになります。
 第1種事業(例:卸売業)90%
 第2種事業(例:小売業)80%
 第3種事業(例:建設業、製造業等)70%
 第4種事業(第1種から第3種及び第5種事業以外の事業。例:飲食業等)60%
 第5種事業(例:不動産業、サービス業等)50%
 簡易課税制度を選択するには、簡易課税制度選択届出書を提出すれば適用されるのですが、問題はその提出時期です。提出されると、原則は、「その提出があった日の属する課税期間の翌課税期間以後の各課税期間」から適用されることになりますので、例えば、個人事業者の方で、簡易課税制度を23年度から適用したいと思う場合は今年22年の12月末日までに提出しないと適用できないことになります。翌年の確定申告期に提出しても、適用はその次の年になりますので、ご注意下さい。1年決算法人の場合は前事業年度までに提出しないといけないことになります。また、選択届出書を提出すると、最低2年間は簡易課税制度ととらないといけませんし、それも選択不適用届出書の提出が必要になります。
 消費税の場合は原則課税と簡易課税制度があり、業種やケースによって有利不利もあります。特に届出書の提出時期が重要になってきますので、ご注意ください。